歯髄保存療法

PRESERVATION

抜歯を回避するための治療

歯の中心部には歯髄という領域があります。歯髄は私たちの歯が感じる痛みや温度を伝える神経や血管が集まった部分です。歯髄の健康を保つことは、長期にわたって歯の健康を維持する上で欠かせない要素です。そのため、むし歯が深く進行した場合においても、できる限り歯髄を保存し、その働きを維持する治療が求められます。

東有馬おとなこども歯科の治療ポイント!

拡大鏡・MTAを用いて、むし歯の再発を防止

歯髄のある根管内は非常に複雑な構造をしています。そのため歯髄保存療法を行う上では、細かな部分にまで気を配りながら治療を行わなければなりません。そこで当院では、拡大鏡を使用して患部を詳細に確認しながら治療を進め、MTAセメントを使って確実に封鎖することを心がけています。最新の技術を活用して、むし歯に感染した部分のみを的確に取り除き、歯髄をしっかりと保護します。

歯髄保存療法の重要性

歯髄保存療法とは

歯の内部にある歯髄は、歯の生命力の根本とも言える大切な部分です。なぜなら歯髄には、痛みや温度を感じる神経と血液を供給する毛細血管が存在しているからです。つまり健康な歯を維持し続けるためには、細菌から歯髄を守ることが欠かせません。そのため、むし歯が進行したとしてもできる限り歯髄を温存する必要があります。このような処置を歯髄保存療法と呼びます。

歯髄の有無で、歯の寿命が変わる

むし歯が神経に達すると激しく痛むので、歯髄を抜いて痛みを除去し、内部の感染をキレイにする治療を行います。この治療後、痛みは治まりますが、歯に栄養が補給されなくなり、削る量が多くなるため次第にもろくなっていきます。また、日本での神経の治療の再治療率が約50%あると言われています。神経を取った歯を長く残すのは難しいですが、神経がある歯を残すことは比較的簡単です。そのため歯髄保存療法を行い、神経を残すのと残さないとでは大きな差があります。

  • 歯髄がある歯

    • 歯に栄養が補給されるので、歯の美しさや強度を維持できる
    • 神経があることで、痛みなどの違和感を迅速に察知できる
  • 歯髄を失った歯

    • 歯に栄養が補給されなくなるので、破折リスクが高まる
    • 神経がなくなると歯にトラブルが起こっても、気づきにくい

神経を保護する「MTA治療」

MTAセメントとは

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは近年、歯の治療において信頼性の高い材料として注目されています。主成分であるケイ酸カルシウムは、生体との相性がよく、根管穿孔部位を効果的に封鎖することが可能です。結果的に神経を健康に保ち、歯の健康寿命を延ばす効果が期待できます。
しかし、全てのケースに適しているわけではないため、詳しくは当院でのカウンセリングをおすすめします。

MTAセメントのメリット・デメリット

メリット

  • 根管治療に比べると治療回数および治療期間が短い
  • 歯の神経を保存できるので歯の寿命が長くなる
  • 補綴物に関して、セラミックなどを選択できるため、むし歯の再発リスクを抑えられる

デメリット

  • 保険適用外なので自費診療となる
  • 症例においては歯髄を保存できない可能性がある
  • 根管治療が必要になった場合、対応できない可能性がある

感染を防ぐラバーダム防湿

ラバーダムとは

治療中、口の中はさまざまな細菌で溢れています。それらの細菌と治療部位をしっかりと隔離するために、ラバーダムというゴム製のシートを活用します。ラバーダムを用いれば、治療箇所に唾液や細菌が侵入するのを防ぎ、感染リスクを大幅に減少させることが可能です。

歯髄保存療法の流れ

  1. 01

    麻酔をしてラバーダム防湿

    まずは麻酔をして、口内感染を予防するためにラバーダムでの防湿を行います。

  2. 02

    むし歯や詰め物などを取り除く

    拡大鏡を使用して、むし歯や古い詰め物を綿密に取り除きます。低速のドリルやエキスカベーターなどを駆使して、患者さんの不快感を最小限に抑えながら治療を進めます。

  3. 03

    むし歯の取り除きを確認後、洗浄・消毒

    「う蝕検知液」を使用し、細菌に感染した部分の残存状況を確認。もし、少しでも細菌が残っていれば、歯の健康部分を極力維持しつつ、的確に除去します。その後、洗浄と消毒を行い、治療部位を安全な状態に保ちます。

  4. 04

    MTAセメントの充填

    治療の次のステップとして、歯髄が露出している部分を細菌が入らないように丁寧に封じ込める必要があります。その際に利用するのがMTAセメントです。MTAセメントを用いることで、外部からの刺激や感染のリスクを抑え、歯の健康を守る結果に結びつきます。

  5. 05

    MTA周りに蓋をする

    MTAの周りに感染しないように蓋をしてその日はおしまいです。

  6. 06

    詰め物・被せ物の作製・装着

    一通りの治療が終わった後、特に問題がなければ、セラミックやハイブリットインレーを用いて、歯の機能を補います。どちらの素材も見た目や機能が天然歯に近い性質があります。

歯髄保存療法の
料金・治療回数

治療名 料金(税込) 治療期間・回数
歯髄保存療法 ¥35,000 1日/1回

※歯髄保存療法終了後、詰め物・被せ物の作製に2回程ご来院いただきます
※詰め物・被せ物の費用が別途発生します

  • 歯髄保存療法の注意点

    • 公的医療保険が適用されない自費診療。
    • 歯の根元にまで虫歯が進行していると歯髄を残せる可能性が下がる。
    • 治療期間が長くなることがある。